
江戸時代に北国街道の宿場町として栄えた小諸。今も商家や蔵など江戸の風景が町の至る所に残っています。
シルバーウィークに、「城下町フェスタ」というイベントが行われていたので訪ねてみました。
信州小諸 第9回 城下町フェスタ
「小諸城下町フェスタ」は、小諸に今も残る商家や蔵などの歴史的な建物を活用して保存していくことを目的に、2013年に始まったイベントです。普段公開されていない建物の内覧などもできますので、とても興味がありました。今年で、9回目なんですね。
コロナ対策がとられ、タイトルに「with Mask]が付いています。


イベントの会場は、小諸駅から市町(いちまち)・本町(ほんまち)となります。

小諸本陣主屋(こもろほんじんおもや)
小諸駅より上田方面へ線路に沿って歩くと、左側に本陣主屋があります。

本陣主屋は、江戸時代の大名行列の殿様の宿でした。元は北国街道沿いの本陣問屋の奥に位置していましたが、平成8年にこの場所に資料館として復元されました。

入口には江戸時代の部材が使用されています。

北国街道小諸宿
市町(いちまち)~本町(ほんまち)の街道の風景
旧小諸本陣から見た、旧北国街道の風景です。市町(いちまち)の街道はずっと上り坂となっています


先端カーブの先に、本町の交差点があります。

この信号を渡ると本町です。

本町は、商家が並んでいます。

本町の突当りには、光岳寺があります。

市町 街道筋
旧小諸本陣問屋場(国重要文化財)
この建物は、江戸時代小諸宿の本陣と問屋を兼ねていました。
小諸駅近くに移転された小諸本陣主屋は、元々この建物の奥に建てられていたものです。
参勤交代の大名行列の際、殿様が本陣に宿泊しました。
殿様の駕籠は、向かって左側の表門から入って、その奥の座敷の式台玄関につけられたと伝えられています。
現在、修復中となっており、1階はシートで覆われています。

旧小諸本陣問屋場の右側後方から建物を見ることができました。
表から見ると2階建てに見えますが、裏からは3階建てになっているのがわかります。
築200年以上の建物なので、白壁がだいぶ剥がれ落ちてしまっています。

那須野整骨院
江戸時代後期の建物。明治中期には繭問屋として使われていた建物だそうです。

山兼酒造
江戸時代末期の建物。問屋場として建てられたと伝えられています。明治43年から造り酒屋を始め裏手には通りを隔てて酒蔵がありますが、近年製造をやめられたとのことです。

脇本陣(脇本陣の宿 粂屋)
江戸時代後期の建物。屋号は、「粂屋(くめや)」。

本陣に殿様が泊まり、脇本陣には、藩の家老が泊まりました。
明治時代になってからは、粂屋は商用の客の宿泊施設として人気があったようです。
昭和20年代まで営業していましたが、その後空き家となっていたのを、昨年、旅館(脇本陣の宿 粂屋)として営業を始めました。元々の建物の基本的な形は変えず、部分的に改修が行わました。
現在、建物の向かって左側が宿泊施設、右側がカフェになっています。


脇本陣の宿 粂屋
今日は、特別に宿の中が公開されていました。

正面の黄色い明りは電話室。ガラスに、「電話室 長六七番」と書かれています。
明治40年に小諸に電話局が開局し、67番目の電話だったようです。
廊下は畳敷きとなっています。中央奥が中庭です。

入口付近の客間です。障子の格子が細かいです。

入り口から奥に長い町家には、中庭が設けられています。外の光を取り入れ、建物内が明るくなると同時に、常に樹木が見え気持ちが落ち着きますね。



入口(街道側)が南側で、中庭を挟んで南北に部屋があります。
現在カフェの場所は以前は土間でした。江戸時代は建物の奥に馬屋があり、馬は、土間の端を通り奥の馬屋に行ったとのことです。

カフェ
こちらで、ティータイムをとりました。地元のご婦人さん等が店員をしており、気さくに話しかけてくれます。田舎風なのんびりとした趣のある店です。



抹茶セット 500円(税込)と、えんめい茶(漬物付き)100円(税込)を注文しました。
値段が手ごろです。
本日は、イベントをしており宿の中庭で野点(のだて)をしておりました。その茶席で出されているお茶をカフェでも提供してくださいました。普段よりお得な抹茶セットです。
抹茶のお供は、小諸市の和菓子店「風味堂」の柿練切りと花豆甘納豆・くるみ羊羹・落雁です。
どれも抹茶によく合います。

夫は、えんめい茶と野沢菜漬け。これで100円ていうのは嬉しいですね。

今日は、イベント日で特別に隣の宿の客間で、風味堂の和菓子販売もあり、そのお菓子も買い、えんめい茶と一緒に食べました。
お彼岸の粒あんおはぎ 100円。くずアイス(ナガノパープル)300円。

メニューにあった「おにかけうどん・そば」 も、人気のようで、こんどランチの時間帯に食べに来たいと思います。
小諸藩城代家老屋敷跡 / 鍋蓋城跡
ここは、戦国時代の1487年に大井光忠により造られた鍋蓋城の跡です。江戸時代には、小諸藩の城代家老屋敷として使われていました。

今ある建物は、昭和になり宿泊施設(ホテル小諸)として建てられたもので、現在使用されていません。
右側の蔵では、小諸の地域おこしの一環として、リサイクル・リメイク品の販売を行っています。
本町 街道筋
市町から歩いてきて、信号を渡ったら本町です。本町は、昔からの商店が建ち並んでいます。
大塚酒造 販売店
江戸時代から続く造り酒屋、「大塚酒造」の販売店でしたが、現在は閉じています。
本店がこの街道沿いにあります。

小諸郵便局発祥地
本町信号機のすぐそばに古い門と「書状集箱」があります。明治5年ここに小諸郵便取扱所ができ、創業時の郵便ポストは「書状集箱」と呼ばれていました。

ほんまち町家館
旧清水屋(昭和40年代まで味噌・醤油の醸造業を営んでいました)で、商家の造りをそのままに生かし、会議や展示、イベントなど多目的に利用できる施設として整備されています。

かつての帳場には、昔の品々が展示されています。

味噌・醤油の醸造用の道具が展示されています。


中庭の先は、浅間山が見える見晴らしのよい広場となっています。
大塚酒造本店
一番手前の建物が大塚酒造の本店で、江戸時代後期の建物です。
建物の裏手、通りを挟んで酒蔵があります。

創業1841年(天保12年)。
江戸時代から「 清酒 浅間嶽(あさまだけ)」を醸し続けてきた造り酒屋です。
「浅間嶽」とは、浅間山の古名で、霊山の厳しさと美しさを酒に表現すべく名付けられました。


江戸の庄屋 (塩川五右衛門商店)
江戸時代の庄屋屋敷で、江戸中期の建物です。
現在は、塗装店を営まれています。

典型的な町家の造りで、建物の一部を拝見することができました。
和室が3部屋続いた先には、中庭があります。

天井には明り取りの天窓が造られています。

旧大塚魚店
江戸時代末期の建物。明治38年から海産物問屋を営んでいました。
大塚酒造の魚部として明治38年に大塚酒造の魚部として問屋と小売りで開店。
現在は営業していません。


そば七
江戸時代後期の建物。江戸時代本陣代として建てられたもの。

入口の向拝がとても立派で、細かな彫刻が施されています。さすが本陣代です。
旧大和屋呉服店の蔵
小諸の豪商の代表と言われた大和屋は、県外にも名の知られた呉服問屋でした。
かつて、大和屋呉服店の蔵は18もあったそうですが、昭和63年頃に店をとじ、建物も壊され、現在は、手前「ギャラリー紙蔵歩(かみくらぶ)」と奥の「英語塾KEC」の蔵が残されています。

旧小諸銀行 萬屋骨董店
明治18年の建築。小諸銀行は明治14年小諸の豪商が力を合わせて開いた銀行です。
黒色の蔵造りで、建物の両側に「袖うだつ」と呼ばれる壁が飛び出しています。火がまわりから燃え移るのを防ぐ役目をしています。

現在は、骨董店になっています。

大塚味噌醤油店
店舗は江戸後期、蔵は明治時代の建物。
蔵の白壁には、鏝絵(こてえ)の技法で左官職人が描いた「味噌」「醤油」の看板があります。

大塚味噌醤油店から50m程度先の突当りに光岳寺があります。

今回は、北国街道小諸宿の一部分を見学しましたが、風情のあるよい町です。江戸時代の建物が多く残されており、その建物で生活されている方がいらっしゃいます。歴史を後世に残すために維持していくのは大変な事と思いますが、この町並みを是非今後も残していって頂きたいと思いました。
本町無料駐車場
小諸駅周辺に、有料駐車場が複数ありますが、本町周辺を散策するのに便利な無料駐車場があります。
●ほんまち遊子公園(ゆうしこうえん)駐車場
小諸市本町2-2(本町交差点近く)
※「原則2時間までの駐車でお願いします」とのことです。


停車台数が10台程度ですので、満車の場合は、大手門駐車場(2時間以内無料)が便利です。
小諸市の次回イベントご紹介
2020年10月24(土)~11月23日(日・祝)まで、小諸城址懐古園で「紅葉祭り」が行われます。
期間中、休日にはいろんなイベントが企画されています。
春の桜もきれいですが、秋の紅葉も楽しみですね。


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